成長を実感!「経験がプラスになった」という流主将が今季のサンウルブズを総括

スーパーラグビー2018 - 成長を実感!「経験がプラスになった」という流主将が今季のサンウルブズを総括

シーズンエンドパーティーで挨拶するサンウルブズ共同キャプテンのSH流大(撮影/斉藤健仁)

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 7月13日(金)、ヒト・コミュニケーション サンウルブズ(以下サンウルブズ)はアウェイでのレッズ戦を黒星で終えて、今季の16試合すべての日程を3勝13敗(総勝ち点14)で終えた。

 スーパーラグビー参入3年目は、初のシーズン3勝、そして海外での初勝利や初の連勝など新しい歴史を刻んだが、残念ながらオーストラリアカンファレンスは最下位の5位、全体15位という成績で終えた。

 ただ今季はポジティブな面もたくさんあったと言えよう。共同キャプテンの一人であるSH流大は「結果としては目標(=5位以内)に届かなかったので悔しい。ファンの方にはすごく応援していただいたので、結果で返すことが一番ですが、成長できた実感もあるので今後に活かしていきたい」と振り返った。

 スーパーラグビーは今季、一昨季や昨季と違い18チームから15チームに削減、サンウルブズも南アフリカのアフリカ1カンファレンスからオーストラリアカンファレンスに異動した。またラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)がサンウルブズの指揮官も兼任し日本代表との連携がより色濃くなった中、昨年よりも1週間ほど早い1月末から大分・別府で合宿をスタートさせた。

 その合宿中、日本人が中心ではあるがオーストラリア人、ニュージーランド人、南アフリカ人、トンガ人、ジョージア人などがいる多彩なサンウルブズとしてチームカルチャーを構築すべく、「どういうチームにしていきたいか」ということをスタッフ、選手たち全員で話し合ったという。

「ファンの方を大切にすること、自分たちはプロ集団で24時間プロの生活をすること、100%の準備をすること、各地にいろんなところに試合で遠征に行ったが足跡を残してその場を去ることなど別府で決めたことをシーズン通してやり切ることができました。結果にすべてつながったわけではないが、より結果を求めてチームカルチャーを構築できたことは来季につながると思います」と流キャプテンは胸を張った。

 移動距離は3分の1ほど減ったが、チーム数が削減されてスーパーラグビーの一つ一つの試合の強度が上がる中で、「アタッキングチーム」を自負するサンウルブズはキックを上手く使い、時には自陣からもボールを回して積極的に攻めの試合を貫いた。その結果、トライ数は昨年より1試合増えた影響もあるが7つ増えて48トライ(1試合平均3トライ)となり、SOヘイデン・パーカーのプレースキック成功率も95%を超えたこともあり昨年より100点近く多い404点を挙げた。得点力はプレーオフに進出したチームとさほど変わらなかった。

 しかし、シーズン当初は接戦を演じることができてもなかなか勝ち星に結びつかなかった。タックル成功率は昨年の80.5%より上がって84%になったものの、スクラムやラインアウトから少ないフェーズでのトライや、カウンター能力の高いバックスリー(WTBやFBの総称)が揃うスーパーラグビーにおいてアンストラクチャーからトライを奪われたことが響いた。今年は失点は1試合多かったが、昨年よりもやや減って664点(1試合平均41.5点)を喫した。

 結局、サンウルブズは開幕9連敗してしまい、流キャプテンは「ホームでワラターズ(オーストラリア/4月7日)、ブルーズ(ニュージーランド/4月14日)で対戦したあたりが僕の中ではしんどかった。負け続けていましたが、自分たちの中では成長を実感していて、いよいよホームで勝たないといけないというときに負けてしまった……」と肩を落とした。

 それでも前を向いてサンウルブズはニュージーランド遠征を行い、アウェイで昨年の王者クルセイダーズ、一昨年の王者ハリケーンズと対戦し、負けはしたものの後半途中まで善戦したことで歯車が上手く噛み合い始めていく。ジョセフHCが担当するラインアウトの成功率も上がり、積極的に上がるディフェンスシステムも機能し始める。

「コーチが言うことに対して選手がちょっと疑問に思ってやっていたことを、コーチにもっとこういうことをやるべきではないかと言うようになったのはニュージーランド遠征の時期でした」(流キャプテン)

 迎えた5月12日の10試合目、レッズ(オーストラリア)に63―28で快勝し、5月19日には香港でのホーム試合でストーマーズ(南アフリカ)にSOパーカーのDGで26-23と勝利し、初の海外での勝利だけでなく連勝も達成。さらにテストマッチ期間を挟んだ6月30日にもブルズ(南アフリカ)を42-37で下し、3年目にしてシンガポールで初勝利を挙げると同時に、初のシーズン3勝目を挙げた。

 来年はより上位に進出しプレーオフ進出するためには、得点力はもちろんのことディフェンス力向上が鍵を握ることは間違いない。

 流キャプテンも「本当に一瞬の隙をなくすことが必要。ジェイミー(ジョセフHC)もよくソフトモーメント(集中力を欠いた時間帯)と言うと思いますが、スーパーラグビーのチームは本当にちょっとした油断、隙をすべて突いてくるようなチームばかり。そこをなくさないと勝ち星は増えない。例年より得点が取れるようになっていますが、失点も多いことも事実。ディフェンス自体はみんな理解して良くなっているが、失点を抑えないといけない。あとはレフリングへの対応も一つ課題」と総括した。

 また来年2019年はいよいよワールドカップイヤーだけに、今年よりも日本代表の主力選手たちを休ませながらもスーパーラグビーの試合に出場させる必要性が出てくる。そのため例年以上にスコッドも増えることが予想され、コーチ陣のマネジメントの重要度は上がるだろう。今年に関して言えばジョセフHCらコーチ陣は、上手く選手たちに休養を取らせながら、スーパーラグビーとテストマッチの両方を戦ったことで、6月の日本代表戦は2勝1敗と一定の成果を挙げた。

 流キャプテンは「あれだけ経験していたジェイミーも『スーパーラグビーはタフだ』とすごく強調していて、休むときは休まないといけないですし、メンバー変わっても『同じパフォーマンスをできければいけない』と言われていた。休めと言われたことは同意し、チームに戻って来たときはいい状態であるようにと意識していた。ワールドカップ見据えて、選手の疲労とか、いろんなこと考えてやってくれたのだと思います」とコーチ陣の配慮をおもんばかった。

 今年初めてスーパーラグビーの試合に出場し、しかもNo.8ヴィリー・ヴリッツと共同キャプテンを務めた流キャプテンは、シーズン中は「僕は大丈夫です!」「僕は疲れてないです」とリーダーの一人としては前向きな発言をしていたことが多かったが、実際にはスーパーラグビーでプレーして良かった点だけでなく苦労した点も多々あったという。

 シーズン当初は自分のこともチームのこともやらなければいけない日々が続き、しかも連敗が重なり、流キャプテンは自戒することもあったという。「スーパーラグビー初参戦で共同キャプテンと言うことで、プレーもしっかりやらないといけないしチームにも目を向けないといけない。いろんなことに気をつかってやっていました。ブリッツといっしょに、他にもリーダーがたくさんいたので、協力しながらできたのは良かったです。結果が出なかったことに対して、つらかったというか自分を責めるようになったこともありましたが、今思えば、そういう経験も必要だったと思うので、いいシーズンでした」

 もちろん、初めてスーパーラグビーの試合に出場して流キャプテンが得たものも多かった。「確実に(スーパーラグビーの経験は)プラスになったと僕自身は感じています。強度の高い試合は国内だと限られていますし、スーパーラグビー経験することによって戦術の理解もそうですし、長い期間、みんなで練習や試合をすることで、ラグビー面で成長できました。実際に6月、(日本代表として)イタリアとの2戦目は負けましたが、サンウルブズでやってきたことを実感できたので、一人の選手として声を上げるなら、このシステム、スーパーラグビーに参戦することは(ラグビー選手として成長するためには)必要不可欠だと思います」

 最後に、来年のスーパーラグビー、そしてワールドカップに向けて流キャプテンは「来年のスーパーラグビーはワールドカップの本当に直前ということで勝利して、どれだけ自信を付けて臨むか大事。スーパーラグビーもワールドカップも自分たちの100%を出せるような準備をして、100%出さないと勝てない。今年はスーパーラグビーで3勝しかできなかったが、勝ち星を増やして自信を持ってワールドカップに臨みたい」と意気込んだ。

 「来年もっと勝てる。もっと強くなる」――そんな確固たる強い決意を持った若きキャプテンの目はすでに来年を見据えていた。

記事提供者:斉藤健仁

試合情報

  • 2018.2.24(土)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.3.3(土)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.3.10(土)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.3.18(日)
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  • 2018.3.24(土)
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  • 2018.4.7(土)
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  • 2018.4.14(土)
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    サンウルブズ 10 - 24 ブルーズ
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  • 2018.4.21(土)
    スーパーラグビー2018
    クルセイダーズ 33 - 11 サンウルブズ
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  • 2018.4.27(金)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.5.12(土)
    スーパーラグビー2018
    サンウルブズ 63 - 28 レッズ
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  • 2018.5.19(土)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.5.25(金)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.6.3(日)
    スーパーラグビー2018
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  • 2018.6.30(土)
    スーパーラグビー2018
    サンウルブズ 42 - 37 ブルズ
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  • 2018.7.7(土)
    スーパーラグビー2018
    ワラターズ 77 - 25 サンウルブズ
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  • 2018.7.13(金)
    スーパーラグビー2018
    レッズ 48 - 27 サンウルブズ
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