日本代表、DFで奮闘するも世界3位のアイルランドに13−35で屈する

スーパーラグビー2017 - 日本代表、DFで奮闘するも世界3位のアイルランドに13−35で屈する

後半22分、 WTB山田はSO松田のグラバーキックをキャッチしインゴールへ飛び込んだ(撮影/齋藤龍太郎)

  • シェアする

6月17日(土)、強豪アイルランドと対戦し22−50で敗れた日本代表。相手に7トライを許し完敗に終わったが、日本代表もラスト20分で3トライを畳み掛けるなど猛攻を見せ、2戦目に一縷の望みをつないだ。

再戦は24日(土)、試合会場は、2019年のラグビーワールドカップ日本大会の開幕戦が行われる味の素スタジアム(東京スタジアム)だった。同大会での対戦が決まっている最注目カードの結末を、国内の日本代表戦史上2位(2004年以降)の観客数となる29534人ものラグビーファンが見守った。

日本代表は先週のアイルランド戦から先発8人を入れ替え、鍵となるハーフ団はSH流大、SO小倉順平というコンビに。流は「前の試合、やろうとしたことはできた実感はあった。前半からやっていけるようにしたい」、小倉は「キックの戦術がどう生きるのか。CTBに優さん(田村)もいるので、2人で話してどう組み立てられるのかが重要」と試合を前に抱負を語った。

共同キャプテンのHO堀江翔太がリザーブとなり、CTB立川理道が欠場したこともあり、ゲームキャプテンはこの試合が節目の50キャップ目となったFLリーチ マイケルに。2015年のラグビーワールドカップ以来のスキッパー復帰を果たした。また、LOには2015年のワールドカップ以来代表を退いていたトンプソン ルークが入り、こうした経験豊富なプレーヤーたちがFWを支えた。

試合前日、日本代表のジェイミー・ジョセフHCは「明日は早いラグビーを展開し、セットプレーでプレッシャーを与えたい。セットプレーからプランを遂行して、早い展開をすればアイルランドにプレッシャーをかけられる」と強豪アイルランド撃破のためのビジョンを明かした。

先週の勝利で世界ランキングを3位に上げたアイルランドも、負傷などの影響でメンバーを一部変更したものの、キャプテンのFLリース・ラドック、ベテランWTBのキース・アールズをはじめ前回ワールドカップ経験者を5人投入。アールズとともに2トライを決めたNO8ジャック・コナンも名を連ねるなど万全の態勢で臨んだ。

アイルランドのジョー・シュミットHCは試合を前に、「大きなチャレンジになる。日本はもっとスピードをチームに与えようとしている。WTB山田(章仁)はとても速い。CTB松島(幸太朗)は中盤で速く動ける。田村が(12番に)入り、小倉が10番に入っていることも合わせると、2人の司令塔からのキッキングゲームをもっとしてくるだろう」と、個人名を挙げながらを日本代表を警戒した。

試合は日本代表のキックオフで始まった。前半3分、LOトンプソンの強烈なタックルで日本代表がターンオーバーするが、パスが乱れたところをアイルランドCTBギャリー・リングローズにボールを奪われ独走トライを許して0-7と先制される。つづいて11分にもアイルランドFLジョシュ・ファンデルフリーアーにトライを決められ0−14。

日本代表は15分にSO小倉がPGを決めて3−14として差を詰めるが、直後の17分にアイルランドSHキーラン・マーミオンにトライされ、3−21と逆にリードを広げられてしまう。トライが欲しい日本代表は24分、敵陣まで攻め込むとSO小倉から外に構えていたCTB松島へパスが通り、相手をかわして松島がインゴール右隅にトライ。8−21とようやく反撃に転じる。

だが後半31分、アイルランドはフィジカルを活かしたアタックで、キャプテンのFLラドックがトライ。8−28とアイルランドが20点リードして前半終了を折り返した。

後半は開始早々から日本代表がチャンスを作り、敵陣ゴール前からFL松橋周平がトライしたかに見えたが、TMOでSH流にノックオンの判定でノートライ。アドバンテージをもらっていたことから再びそこから攻めるもトライにはつなげられず、後半20分まで互いに得点できない膠着状態が続いた。

後半22分、アイルランドのインテンショナルノックオンを起点に攻めた日本代表は、後半から出場していたSO松田力也が相手ディフェンスの合間にグラバーキックを転がす。相手に当たり不規則に動いたボールはWTB山田章仁の手に収まり、そのまま山田がインゴールへ飛び込む。2つ目のトライで13−28とした日本代表は反撃ムードを高めた。

しかしその後も日本代表はチャンスを作りながら得点はできず、逆に38分、アイルランドのFLショーン・ライデーにとどめのトライを決められて万事休す。13−35でノーサイドを迎え、日本代表はアイルランド代表に2連敗(通算0勝9敗)でこのシリーズを終えた。

試合後、アイルランドのジョー・シュミットHCは試合をこう評した。

「非常にタフな試合だった。タックルが非常に効果的で、ハードワークを重ねてきたのではないかと思う。また暑かったが、幸い出だしが良かったので(前半に得点を重ねることができたので)ゲームを維持できた」

また、日本代表のジョセフHCはこうコメントした。

「勝てず残念だが、全員が役割を遂行し、いい場面も作れた。リーチをはじめ、誇れるパフォーマンスを見せてくれた。最後まであきらめずに戦えたことは誇れること。ブレイクダウンでは相手のボールをスローにできたが、ミスもあった」

続けて、活躍した選手についてはこう評した。

「この6月は若手がステップアップし、ポテンシャルを見せてくれた。FB野口(竜司)も、(途中出場の)PR渡邉(隆之)もそうだ。LOトンプソンについては(ベテランであることから周囲からは)前向きでない反応もあったが、今日のパフォーマンスで世界レベルのLOであることを見せてくれた」

また、ゲームキャプテンを務めたFLリーチは、

「この3試合、修正しながら自分たちのプランをやり切ってきたつもりだが、メンタルが足りなかった。ただ、今日はスタートから最後までよく戦ったと思う。ラグビーの原点は戦うことが一番で、フィジカリティー、ブレイクダウンの部分で日本はよくできた。トップ3を相手にしっかり学ぶことができた。一番感じたのはトップ3のメンタルのタフさ。アイルランドは最後の最後まで耐えた。戦う気持ちはよくなってきたので、あとは戦術を少し磨けばもっと良くなる」

と、この厳しい洗礼から学んだことや課題を挙げつつ、

「今日も若い選手、特にSO順平(小倉)、SH流、HO庭井(祐輔)がリーダーシップを発揮していた。2019年に向けて課題を少しずつ直していきたい」

と若手の成長へを賞賛した。

ルーマニアに勝利後アイルランドに2連敗し、6月のこのシリーズを1勝2敗で終えた日本代表。世界3位に上り詰めたアイルランドに対して通用した部分もあれば、圧倒されてしまった部分も多く課題は山積している。

7月からはスーパーラグビーが再開し、8月にはトップリーグが開幕する。10月・11月の日本代表活動再開に向けて代表クラスの選手が各自のスタンダードを上げ、さらに成長することを期待したい。

◇LOトンプソン日本代表復帰! しかし「今日で最後」

36歳のベテランLOは、ジョセフHCが「世界レベルのLO」と評したとおり、やはり頼れる男だった。2015年のラグビーワールドカップを最後に日本代表から退いていたトンプソン ルークの体を張った貢献は、まったく陰りを見せていなかったどころか、両チームトップのタックル数24回は出色のパフォーマンスだったと言えるだろう。

代表招集早々、強豪アイルランドを相手に80分間戦い抜いたトンプソンは、今後の代表入りについて聞かれると、

「自分の仕事はできたと思うし、楽しかった。でも僕はおじいちゃんなので(笑)代表は今日で最後。日本のファンは(自分を歓迎してくれて)優しいけど、均ちゃん(LO大野均)がいるから僕はいい」

と、この試合限りの代表復帰であったことを強調した。また、新しい世代のメンバーについては、

「若い選手にもタレントはいっぱいいる。ワールドカップまではあと2年あるから大丈夫」

と、次世代の成長を笑顔で語りつつ、ワールドカップを3大会戦ってきた経験者らしいアドバイスを贈った。

2015年のラグビーワールドカップでの立役者、トンプソンは再びジャージーを脱ぐと宣言したが、その無視できない活躍ぶりによって秋のセレクションがどうなるか、注目を集めることになりそうだ。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)

試合情報

  • 2017.2.25(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 17 - 83 ハリケーンズ
    NO SIDE
  • 2017.3.4(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 23 - 37 キングズ
    NO SIDE
  • 2017.3.12(日)
    スーパーラグビー2017
    チーターズ 38 - 31 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.3.18(土)
    スーパーラグビー2017
    ブルズ 34 - 21 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.3.25(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 31 - 44 ストーマーズ
    NO SIDE
  • 2017.4.8(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 21 - 20 ブルズ
    NO SIDE
  • 2017.4.14(金)
    スーパーラグビー2017
    クルセイダーズ 50 - 3 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.4.22(土)
    スーパーラグビー2017
    ハイランダーズ 40 - 15 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.4.29(土)
    スーパーラグビー2017
    チーフス 27 - 20 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.5.7(日)
    スーパーラグビー2017
    ジャガーズ 46 - 39 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.5.20(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 17 - 38 シャークス
    NO SIDE
  • 2017.5.27(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 7 - 47 チーターズ
    NO SIDE
  • 2017.7.2(日)
    スーパーラグビー2017
    ライオンズ 94 - 7 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.7.9(日)
    スーパーラグビー2017
    ストーマーズ 52 - 15 サンウルブズ
    NO SIDE
  • 2017.7.15(土)
    スーパーラグビー2017
    サンウルブズ 48 - 21 ブルーズ
    NO SIDE

動画ランキング

記事ランキング