歴史が動いた!日本が優勝候補・南アフリカを初対決で撃破する大金星

ラグビーワールドカップ2015 - 歴史が動いた!日本が優勝候補・南アフリカを初対決で撃破する大金星

ブライトンの奇跡。大逆転勝利を収めたジャパンは笑顔でスタンドに挨拶した。

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9月19日、イングランド・ブライトンで、ラグビー日本代表はワールドカップの初戦となる南アフリカとの一戦を迎えた。南アフリカは過去ワールドカップ優勝2回、世界ランキングも3位の強豪。24年間、ワールドカップで白星なし、世界ランキング13位の日本がどこまで善戦することができるか、注目された。

2012年に就任した世界的名将エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の下、日本代表はフィジカル、フィットネスを鍛え、攻撃的な戦術も磨き上げてきた。そのため南アフリカと戦うベース、素地は十分できていたと言えよう。

さらに南アフリカと対戦するために、相手の強みの一つであるセットプレーの少なくするため「ボールインプレーを増やす」こと、そして、相手にペースを握らせないために「First to ACT(先手を取る)」がこの試合のテーマとなった。

指揮官が「世界と戦うために選んだ」という選手たちは、大舞台で見事に、その戦略を徹底する。ディフェンスでは相手に、極力ダブルタックルで挑み、隙ができればFLマイケル・ブロードハーストらが相手ボールを奪取、攻撃でもテンポの良い攻撃を繰り返した。

また南アフリカに勝つためには「ファストスタートも大事」とジョーンズHCが強調していたことが現実となり、FB五郎丸歩副将のPGで先制すると前半20分までは3-7と接戦を演じ、世界の強豪に十分に通用しており、むしろペースを握った。

前半30分、モールからFLリーチ マイケル主将がボールをインゴールに押さえて10-7と逆転に成功する。ただ、今度は32分、相手にモールからトライを許し、前半は10-12で折り返した。

後半も日本が2分にFB五郎丸のPGで先制し、13-10と逆転する。ただ、縦に走り込んで来るFWを徐々に止めることができず、4分にトライを許し13-19と再び逆転される。だが日本はFB五郎丸のPGで得点を重ね、20分を過ぎたところで22-22と同点に。

その後再びトライを許し、29-22と突き放されるものの、後半28分、日本はラインアウトからのサインプレーでFB五郎丸がトライを挙げて、再び29-29の同点とする。「BKでトライを取れたのはFWがラインアウトを取ってくれたからです。15人全員のトライです」とSO小野晃征は胸を張った。

32分、南アフリカがタッチを狙わず、PGを決めて29-32と再びリードした。だが

それを見た日本のリーチ マイケル主将は「相手がモールではなく、ショット(PG)を狙ったから、ちょっと焦っていることがわかった」という。その後、日本はボールをキープし続けて、敵陣でのプレーを継続する。

試合終了間際、PGを狙うことができる場面もあったが、「相手が(シンビンが出て)1人少ないということもありましたが、勝ちに行くという気持ちがあった」とリーチ主将が言うように、強気の選択でスクラムを選択し、ボールを展開する。

最後はロスタイムに途中出場のNO8アマナキ・レレイ・マフィから、同じく38分にピッチに立ったWTBカーン・ヘスケスにボールが渡り、ヘスケスが左隅に飛び込んで、34-32と逆転に成功した。「とても嬉しい。トライ直後は、本当に信じられなかった。みんなに祝福されて、トライ後にこんなに疲れたのは初めて」(WTBヘスケス)

試合はそのままノーサイドを迎えた。日本が24年ぶりの白星を挙げて、歴史を塗り替えることに成功した。

MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたのは日本人として初のスーパーラグビー選手となったSH田中史朗だった。「スーパーラグビーの決勝のような舞台でした。相手の方が疲れると思っていた。これまで厳しい練習をしてきたかいがあった。練習でもみな集中力があり、今日の試合もいいコミュニケーションができていた。日本のラグビーのためにという気持ちが出ていた。残りプール戦 3試合もしっかり準備をするだけです。MOMはチーム全員でもらったようなもの。みんなで喜びを分かち合いたい」と満面の笑顔を見せていた。

日本を指揮するジョーンズHCは「本当に信じられません。今日はよいプレーができると思っていたが、本当にチームにとって素晴らしいことだと思います。このために大変な努力をしてきました」と選手たちを称えた。また、この勝利でどんな影響があるという質問に対しては、「今からラグビーを始める小さな子どもたちが、次のワールドカップではラグビーをしたいと思うでしょう」と語った。

「歴史を変えるチャンスは1回しかない」と選手たちに伝えて送り出したジョーンズHC。4年間で成長し、その指揮官の期待に見事に答えた選手たち。チーム一丸となって戦ったからこそ、南アフリカを破るというワールドカップ史上最大の「ジャイアントキリング」を達成することができたと言えよう。

ただ、まだ1試合が終わったに過ぎず、9月23日には予選プール2戦目のスコットランド戦が控えている。ターゲットである初の決勝トーナメント進出に向けて、「エディージャパン」の戦いは終わらない。

記事提供者:K.S.