日本代表、世界4位のエディー率いるイングランドに前半リードで折り返すも15-35で敗れる

ラグビー日本代表 - 日本代表、世界4位のエディー率いるイングランドに前半リードで折り返すも15-35で敗れる

前半22分、逆転トライを決めてチームを勢いづけた日本代表CTB中村亮土。(撮影/斉藤健仁)

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11月3日(土)にニュージーランドと対戦し(●31-69)、その翌週には早くも渡英して合宿を行っていた日本代表(ワールドラグビー世界ランキング11位)は、17日(土)、ラグビーの発祥国であるイングランド代表(同4位)と対戦した。イングランドのホームであるロンドン郊外のトゥイッケナム・スタジアムでの両者の対戦は初めてで、「ホーム・オブ・ラグビー」と言われる“聖地”には81,151人もの大観衆が詰めかけた。

過去の対戦成績は日本代表の0勝8敗(イングランドのキャップ対象試合に限れば0勝1敗)。2015年のラグビーワールドカップまで日本代表を指揮していたイングランドのエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が、来年のワールドカップでの優勝に向けて着々と強化を図ってきたチームに対して、日本代表がどこまで戦えるか、完全なアウェーのなかで成長の跡を見せられるかが注目された。

日本代表はかつてジョーンズ前HCに薫陶を受けたキャプテンのFLリーチ マイケルをはじめ、SH田中史朗、SO田村優、WTB福岡堅樹、WTB山田章仁といった経験豊富なメンバーが先発。サントリーと日本代表の両方で指導を受けたCTB中村亮土、また同じくサントリーでこの試合が2キャップ目のFL西川征克はこのイングランド戦が代表初先発となった。

一方、イングランドは共同キャプテンのHOディラン・ハートリーとSO/CTBオーウェン・ファレルをリザーブに下げ、SOジョージ・フォードがゲームキャプテンを務めた。その他LOマロ・イトジェ、WTBクリス・アシュトン、CTBジャック・ノーウェル、FBエリオット・デイリーといった実績十分のメンバーが揃い、日本代表を迎え撃った。

イングランドのキックオフで始まった前半3分、日本代表は敵陣まで攻めながら相手のカウンターアタックを許し、イングランドSHダニー・ケアに先制トライを決められる。SOフォードのゴールも成功し0-7とされる。

16分、日本代表はSO田村のPG成功で3-7とすると、20分にはイングランドHOジェイミー・ジョージがシンビンとなる。22分には敵陣5メートルライン上でスクラムを選択し、数的優位を生かしてスクラムでプレッシャーをかけると、SH田中のパスを後方から勢いよく走り込んできたCTB中村がキャッチし、ゴール下に飛び込んでトライ。SO田村のゴールも決まり、日本代表が7-10と逆転に成功する。

28分にはイングランドFBデイリーにPGを決められ10-10の同点にされたものの、31分、日本代表は再び敵陣まで攻め込む。ゲインを試みたWTB山田から右大外に構えていたFLリーチにパスが渡ると、相手ディフェンスが手薄だった右サイドを駆け抜けて一気にインゴールへ。FLリーチがトライを追加して、前半を10-15とリードして試合を折り返した。

後半も前半の勢いを受け継ぎたい日本代表だったが、徐々にイングランドにポゼッション(ボール保持率)を高められ、16分にはSOフォードのPG成功で13-15と2点差に詰め寄られる。さらに19分、FLマーク・ウィルソンのトライで20-15と逆転を許すと、24分にもSOフォードのPGで23-15と8点差に広げられる。

反撃を試みる日本代表はゴール前まで攻めるもペナルティーなどで好機を生かせず、逆に31分、イングランドWTBジョー・コナカシガに、35分にはモールからHOハートリーに連続トライを決められ、最終的には日本代表が35-15と20点差で敗れた。

前半を優位に進めつつ、後半も複数のチャンスを作った日本代表だったが、後半無得点に終わったことに加え相手の反撃を仕留めきれず、惜しい展開からの苦い敗戦となった。

試合後、日本代表のジェイミー・ジョセフHCはこのようにコメントした。

「イングランドの流れになったところで自分たちがペナルティーをしてしまいました。ハーフタイムにチームにエナジーを与えるためにメンバーを変えたのですが、後半、判断や精度が落ちてしまいました。そこが一番の学びです。トゥイッケナムというところで自分たちのパフォーマンスを出して、勝つところまでもっていけたところは収穫ですが、後半、若干、相手に流れを渡して逃してしまったところが課題です」

また、日本代表のFLリーチ・マイケル キャプテンはこのように振り返った。

「一番課題にしている後半立ち上がりの10分、上手くいきませんでした。がっかりです。でも嬉しいところたくさんあります。今のところ成長したのはブレイクダウンです。まだまだよくなると思いますが、今のところ一番成長しました。また、ラインアウトも今日はほぼ100%成功しましただ。ラインディフェンスで相手にプレッシャーをかけられたことも良かったと思います」

後半途中まで10-15とリードし続け、世界4位の強豪を苦しめながら後半だけで25失点を喫した日本代表。しかし前半の試合運びなど、今後への明るい材料も少なくない。24日(土)のロシア戦(グロスター)を勝利で締めくくって、ワールドカップイヤーの来年に向けての好材料、そして課題を明確にしたいところだ。

◇ジョーンズHC、笑顔で日本代表を讃える「本当に強固だった」

2015年のワールドカップで日本代表に快進撃をもたらしたエディー・ジョーンズ前HC。現在はイングランドのHCとしてチームを指揮し、10日(土)にはニュージーランドに1点差で惜敗するなど、着実にチームをステップアップさせている。

これら両方のチームを率いてきた名将は、試合後の記者会見に笑顔で登場した。

「非常に我々にとってファンタスティックでした。日本がこんなにいいプレーをしてくれて、本当に素晴らしいと思います。彼らは本当に強固でした。私たちはこの試合を一つの試みにしたかったので、違うチームを作って、選手たちが今までとは違うポジションでどのようなコンビネーションをするのかを見たかったのですが、序盤(前半3分)に早すぎるトライを取ってしまったために、無意識にこの試合がイージーだと感じてしまったようで停滞してしまったようです。ただ、後半の修正は素晴らしかったと思います」

また、現在の日本代表についてあらためて問われると、引き続き笑顔でこのように答えた。

「(日本語で)すばらしいね。本当に良くなった。ケンキ(WTB福岡堅樹)はいい選手ね。

(以下、英語で)今や日本代表はオールブラックス(ニュージーランド)と対戦し、8万1千人のトゥイッケナムでイングランドとプレーしています。今は真のラグビー国になりました。今日のパフォーマンスにも満足していますし、ここに日本のメディアがたくさん来ています。ラグビーコミュニティが出来ています。

 日本代表のジェイミー(・ジョセフHC)とトニー(・ブラウン アタックコーチ)は素晴らしい仕事をしていますし、FLリーチの卓越したキャプテンシーで次々と若くて才能のある選手がブレイクしています」

イングランドの指揮官は、かつて厳しく鍛え上げた教え子たち、そしてチームの成長に目を細めていた。今後もジョーンズ前HCをうならせるようなラグビーを見せ続けることができれば、自ずといい結果がついてくることだろう。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)