日本代表、世界王者のオールブラックスに31-69で敗れるも過去最多の5トライを奪う

ラグビー日本代表 - 日本代表、世界王者のオールブラックスに31-69で敗れるも過去最多の5トライを奪う

チームのアタックを終始引っ張り続けた日本代表SO田村優(中央)。(撮影/斉藤健仁)

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11月のテストマッチシリーズがいよいよ世界各地で始まり、日本代表は3日(土)、2011年、15年のラグビーワールドカップの覇者で09年から世界ランキング1位に君臨する「オールブラックス」ことニュージーランド代表を迎え、対戦した。

来年のラグビーワールドカップ日本大会の開幕戦などの会場となっている味の素スタジアム(東京スタジアム)には、“世界王者”の対決を見届けようと43751人(2004年以降、国内の日本代表戦では最多入場者数)もの観客が詰めかけた。なお、両チームの対戦は2013年11月2日(●6-54。秩父宮ラグビー場)以来5年ぶり6度目となる。

10月26日(金)は世界選抜に28-31とわずか3点差で惜敗した日本代表だが、最大24点差から一気に追い上げるなどアタック面で強みを見せた。課題のディフェンスやセットプレーをいかに修正し、世界一のアタッキングラグビーを展開するニュージーランド代表に対抗することができるか、大いに注目された。

日本代表は、キャプテンのFLリーチ マイケルをはじめPR稲垣啓太、SO田村優、WTB福岡堅樹といった経験豊富な選手を投入。PR山下裕史は2015年の前回ワールドカップ以来の代表復帰で、この試合が節目の50キャップ目となった。その一方で、HO坂手淳史やケガから復帰したばかりのFL姫野和樹といった若手の実力者も起用。7人制日本代表経験豊富なWTBヘンリー ジェイミーはこの試合が記念すべき初キャップとなった。

対するオールブラックスは、ゲームキャプテンのNO8ルーク・ホワイトロックを筆頭に、HOデーン・コールズ、SOリッチー・モウンガ、WTBワイサケ・ナホロおよびネヘ・ミルナースカッダー、FBジョーディー・バレットといった実力者を中心に据えた。同時に、初キャップがリザーブ含め8名とこれまで出番の少なかった若手も顔を揃えたことで、この日本代表戦は彼らにとって数少ないアピールのチャンスの場となった。

前半3分、日本代表はオールブラックスSOモウンガにPGで先制を許し0-3とされたものの、直後の4分、早速反撃に転じる。敵陣ゴール前で相手FBジョーディー・バレットが放ったキックを日本代表LOアニセ サムエラがチャージし、前方に転がったボールを自身で押さえてトライ。この試合、両チーム通じての初トライとなり(SO田村のゴール成功)、7-3と逆転に成功。

このまま勢いに乗りたい日本代表だったが、オールブラックスは慌てることなくアタックを組み立て、15分にHOコールズ、19分にSOモウンガ、28分にCTBンガニ・ラウマペがトライを決めて、7-24と日本代表を一気に引き離す。

これ以上リードを広げられたくない日本代表は33分、敵陣で相手ボールを奪うと細かくつないでゲインし、ラックからSH流大のパスを受けたNO8ツイ ヘンドリックがインゴールに飛び込んでトライ。14-24と10点差に迫る。

35分、38分と再びオールブラックスに立て続けにトライを奪われ14-38とリードを広げられた日本代表だが、前半終了間際の41分、敵陣ゴール前でのラインアウトモールを起点にインゴール目前まで迫る。最後は外でパスを受けたCTBラファエレ ティモシーが複数の相手ディフェンスを引きずりながらトライ。19-38として前半を折り返した。

19点差を追う展開となった日本代表は後半7分、果敢に相手陣奥深くに攻め込むも、一瞬の隙からターンオーバーを許しオールブラックスWTBジョージ・ブリッジにトライを追加され19-45とさらにリードを広げられる。

しかし12分、日本代表は数少ないチャンスを生かし、敵陣でのアタックでSO田村が右大外に向けてキックパスを放つ。すかさずそれに反応したWTBヘンリー ジェイミーがセブンズ仕込みのダイビングトライを決めて、24-45と点差を縮める。

相手を崩して鮮やかなトライを決めた日本代表はさらにトライを重ねたいところだったが、ここから再びオールブラックスの猛攻が続く。17分にWTBナホロ、20分にCTBマット・プロクター、23分にはCTBラウマペ、27分にはWTBブリッジに立て続けにトライを決められ、日本代表はわずか約10分間で24-69と一気に突き放されてしまった。

このままでは終われない日本代表は30分、途中出場のFB松田力也が一気にゲインすると、左外を走るWTB福岡にパス。ライン際をWTB福岡が大きくゲインすると、再びFB松田にパスを折り返し、ラストパスがCTBラファエレにわたる。そのままCTBラファエレがこの試合2つ目のトライを決めて31-69とし、そのままノーサイドを迎えた。

オールブラックスから初勝利はならず、対戦成績は日本代表の通算0勝6敗となったが、5トライ31得点は過去最多&得失点差は38点で過去最少ということで、アタックに光明を見出せる試合となった。

試合後、日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は5トライ取れたことへの評価と、チームのこれからを語った。

「結果は非常に残念に思っていますが、オールブラックスから5トライ取れたことは成長の証です。スクラムなど世界選抜戦での課題もしっかりと克服でき、実践できたことを誇りに思います。ただ、ワールドカップに向けてはまだまだ成長を遂げなければなりません。さらなるチームの強化が必要だと感じています」

キャプテンのFLリーチ マイケルは修正すべき点や次戦についてコメントした。

「世界の厳しさがわかった試合でした。厳しい練習をしてきましたが、これ以上厳しくやらないといけないことがわかりました。課題や反省点ができたので、より準備もしやすくなるでしょう。まだソフト(簡単)なトライが多すぎるのでそこを直していきたいと思います。次はトゥイッケナム(イングランドのホームスタジアム)でイングランド代表を倒して帰ってきます」

一方、オールブラックスのスティーブ・ハンセンHCは、日本代表についてこのように評した。

「(日本代表の)パフォーマンスは非常によかったと思います。特にスクラムやラックからのプレーもよかったです。非常にイノベーティブ(革新的)だという印象を受けました。両コーチ(ジョセフHCとトニー・ブラウン アタックコーチ)ともいい働きをしていると思うので、この時期に彼らふたりのコーチがいることは日本代表にとってラッキーだと考えています」

またゲームキャプテンのNO8ホワイトロックも日本代表を高く評価した。

「どの選手もよかったですし、速かったです。アタックも素晴らしかったですし、スピードも感じました。WTBの一人の選手(福岡堅樹)が速かったと思います」

オールブラックスに横綱相撲をさせてしまった日本代表だが、チャレンジはさらに続く。来週からイングランドに遠征し、2週間後の11月17日(土)にはイングランド代表、さらに24日(土)に来年のワールドカップ開幕戦で対戦するロシア代表と相まみえる。

まずは2015年まで日本代表を率いたエディー・ジョーンズHC率いる強豪イングランド代表との対戦に向けて、今日出た課題を克服し、どこまで強みを発揮できるかが試合のポイントとなるだろう。ここから2週間の準備が花開くか注目したい。

◇CTBラファエレ ティモシー、かつて育った“ラグビー王国”から2トライを奪う活躍!

サモアで生まれニュージーランドで育ち、山梨学院大からコカ・コーラへと進んで日本代表の座をつかんでからちょうど2年。今リーダーのひとりとしてチームに欠かせないCTBへと成長したラファエレ ティモシーが、世界最強のオールブラックスから2トライを奪う活躍を見せた。

試合後、ラファエレは自身の活躍をこう振り返っている。

「トライはみんなの懸命の努力があって、最終的に結末つけられただけです。他の選手のラインブレイクやクリーンアウト(ラックの排除)があって、ああいう結果になりました。(オールブラックスに対しては)速い展開ができたときは通用していました。相手をしっかりクリーンアウトして早い球出しができたときは上手くいっていましたが、そこでスローにさせられたりターンオーバーされたりしたときはジャパンの流れには持っていけませんでした」

あくまでチームとしてのトライであると強調しつつ、反省点を挙げた。最後に、来年のワールドカップの開幕戦のスタジアムで大一番を戦い抜いたことについては、

「これだけの大勢の前でプレーできて嬉しく思いますし、これだけの方に応援してもらっているのはチームの糧になると思います。みなさんが、日本のラグビーを応援しだしているのは嬉しく思います」

と、ファンの応援への感謝をことも忘れなかった。世界選抜戦に続いてトライを決めるなど存在感を増しているラファエレの働きは、今後のテストマッチでも不可欠と言えそうだ。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)