新・花園で初試合。日本代表、世界選抜に敗れるも28-31と3点差の好ゲーム

ラグビー日本代表 - 新・花園で初試合。日本代表、世界選抜に敗れるも28-31と3点差の好ゲーム

前半21分、チーム初トライを決めた日本代表WTB福岡堅樹(撮影/斉藤健仁)

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ラグビーワールドカップ日本大会まで1年を切った、2018年秋のウインドウマンス。再び活動を本格化し始めたラグビー日本代表は、和歌山、宮崎合宿を経てさらなる強化を図り、10月26日(金)、世界各国の名選手を集めた世界選抜と対戦。会場は来年のワールドカップの会場のひとつとなっている東大阪市花園ラグビー場(大阪府)。この試合がリニューアル後のこけら落としとなった。

この試合はテストマッチとしては認定されていないものの、日本代表は先発FBにセブンズ日本代表経験のあるヘンリー ジェイミー、リザーブにFL/NO8中島イシレリが入るなど、フレッシュなメンバーが加わった。また、右PR山下裕史が2015年のワールドカップ以来の代表復帰を果たした。PR稲垣啓太、FLリーチ マイケルキャプテン、SH流大、SO田村優、WTB福岡堅樹およびレメキ ロマノ ラヴァといったコアメンバーとともに、チームとしての進化を見せる最高の舞台が整った。

対する世界選抜は、元ニュージーランド代表のレジェンドであるCTBマア・ノヌーや左PRワイアット・クロケットをはじめ、 元南アフリカ代表キャプテンのHOアドリアン・ストラウス、そして現ニュージーランド代表メンバーであるFLジャクソン・ヘモポ、FLディロン・ハント、WTBネヘ・ミルナースカッダーなど豪華な布陣が集結。昨年に続き、パナソニックのロビー・ディーンズ監督がHC(ヘッドコーチ)として指揮を執り、神戸製鋼の元ニュージーランド代表SHアンドリュー・エリスがキャプテンを務めた。

世界選抜のキックオフで始まった前半、日本代表はアタックを継続するなどいい試合の入り方をしたものの得点はできず、逆に前半10分、トヨタ自動車でも活躍中の世界選抜SOライオネル・クロニエに先制トライを決められ0-7とされると、15分には世界選抜WTBトニ・プルにもトライを許し、0-12とリードを広げられる。なお、世界選抜はこのトライで負傷したWTBプルに代わりWTB/FB森谷圭介(パナソニック)を投入した。

トライが欲しい日本代表は前半21分、敵陣ゴール前での5メートルスクラムからアタックを仕掛け、SO田村がキックパス。キャッチしたWTB福岡が得意のステップで相手ディフェンスを切り裂きトライ。SO田村のゴールも成功し7-12と5点差に詰め寄る。

しかし前半31分にはWTBテヴィタ・リー、39分にはトヨタ自動車でも活躍中のLOジェイソン・ジェンキンズと、世界選抜に立て続けにトライをを与えてしまい7-24というスコアで前半終了となった。

17点のビハインドを抱えた日本代表のキックオフで後半が始まると、開始早々の1分、世界選抜WTBリーにノーホイッスルトライを決められ、スコアを7-31と24点差に。

しかし日本代表はここから猛攻を見せ始める。後半6分、自陣深い位置でのディフェンスから、日本代表CTBラファエレ ティモシーが前に出て世界選抜のパスをインターセプトし、そのまま独走トライを決めて14-31と点差を縮める。

さらに後半20分、アタックに勢いが出始めた日本代表は敵陣深い位置でボールをキープし続け、ゴール前での7フェーズ目のアタックで、右大外でパスを受けたWTBレメキがステップで相手ディフェンスをかわしてトライ。難しい角度からのゴールキックをSO田村が成功させ、21-31と10点差に追い上げる。

その後も日本代表は控え選手を投入しゲームを支配する展開となるが、ミスも絡むなどなかなか得点できない時間帯が続いた。後半34分、12フェーズにわたるアタックを継続し、途中出場のSO松田力也がトライがグラバーキックを蹴り、こちらも途中出場のCTB中村亮土がインゴールでボールを押さえトライ。SO松田のゴール成功で、日本代表は28-31とついに3点差に迫る。

しかし、その後も敵陣ゴール前でチャンスを作りながら、ラインアウトのミスやノックオンで日本代表はあと一トライを決められず、28-31のままノーサイドを迎えた。

世界選抜からの初勝利はならなかったが、世界屈指の選手たちを相手に一歩も引かない戦いを見せた。

試合後、日本代表のジェイミー・ジョセフHCは記者会見で試合をこのように振り返った。

「今日の選手たちの懸命な戦いを誇りに思います。非常に体格の大きいパワフルな世界選抜でしたが、チームはしっかりしたアティチュード(姿勢)と意気込みで戦えていました。それをしっかりと来週(11月3日)のオールブラックス戦でも引き続き表していきたいです。結果的には負けてしまいましたが、やってきたことが機能し始めている試合でした」

もちろん、課題を挙げることも忘れなかった。

「2つの重要課題を早急に修正しなければなりません。1つは規律を守ること。11回のペナルティーをしてしまいましたが、これだけペナルティーをしてしまうとテストマッチでは勝つことができません。2つ目はセットプレーです。プレッシャーをかけられたスクラムもあったので、1週間でそれらの修正にかかりたいと思います」

日本代表キャプテンのFLリーチはこのように語った。

「今日の試合についてはポジティブにとらえています。宮崎合宿ではメンタリティーの部分にフォーカスしてきました。(その点で)試合の最初の10分はよかったと思います。修正しなければならないのはディシプリン(規律)とセットピースです。このふたつがうまくいけばもっといい結果になっていたと思います。試合を通していいアタックはできているので、次の試合は修正するというより、いかに相手にプレッシャーを与えるか、というところを意識してオールブラックス(ニュージーランド代表)と戦いたいです」

一方、世界選抜のロビー・ディーンズ監督は日本代表についてこのように讃えた。

「日本代表としては素晴らしい準備になったのではいかと思います。我々の方からすると本当に素晴らしい試合だったと思いますし、非常に短い時間の中でチームを準備してインターナショナルチームと対戦しないといけません。日本代表はしっかり準備期間があると思えば、今日の試合は素晴らしかったと思います」

敗れはしたものの、最後は世界選抜を追い詰め成長の跡を見せた日本代表。11月3日(土)はワールドラグビー世界ランキング1位の王者「オールブラックス」ことニュージーランド代表と味の素スタジアム(東京)で対戦する。

世界選抜戦で出た課題をいかに修正し、どこまで相手に立ち向かえるのか。日本代表の“現在地”を相手に見せつける好ゲームを期待したい。

◇日本代表のファーストトライはエースWTB福岡堅樹!

前半21分、SO田村のキックパスをキャッチすると一気呵成にインゴールへ走り込み、チームとしてこの試合最初のトライを決めたのがWTB福岡堅樹だった。

ボールを持てば確実にゲインし、トライの決定力も極めて高いチームに欠かせない存在となっている。しかし、あくまで周りの選手も含めたチームとしてのトライだと福岡は強調した。

「それまでFWやたくさんの選手が前にいい勢いを与えてくれて、(SO田村)優さんがいい判断をして自分につないでくれて、自分が持ったとき前にスペースがあったので思い切って走りきることができました。優さんがそういうところを見てくれていて、視野が広いので、自分はキックパスをもらうような準備をいつもしています」

試合全体についてはこのように前向きに振り返った。

「最後勝ちきれなかったのは残念な結果ですが、自分たちらしいポジティブなアタックができる時間帯もすごく多かったですし、11月に向けていい勢いをつけられる成果もあったと思います。アタックですごく崩せている時間も本当に多かったので常に継続していきたいですが、ディフェンスで簡単に取られたところはこれからニュージーランド、イングランドと戦う上で必ず修正しないと厳しい結果になるので修正したいと思います。(ニュージーランド戦では)本当に今日以上のパフォーマンス見せないので勝つことができないので、今日以上の準備をしてトライが取れるようにしたい」

成果だけでなく課題、そしてニュージーランド戦に向けての強い意気込みも語ったWTB福岡。来週以降も、そしてもちろん来年も、日本代表に勢いをもたらす存在として大いに活躍が期待できよう。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)