日本、世界8位のフランスと23-23で初の引き分け! W杯まであと2年、確かな成長の跡を見せた

ラグビー日本代表 - 日本、世界8位のフランスと23-23で初の引き分け! W杯まであと2年、確かな成長の跡を見せた

後半33分、同点トライを決めたPRヴァルを祝福する日本代表メンバー(撮影/齋藤龍太郎)

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先週、フランス・トゥールーズでトンガ代表から5トライを奪い、相手にノートライに押さえて39−6と快勝したラグビー日本代表。それから1週間を経た11月25日(日本時間26日早朝)、今度は場所をパリ郊外のナンテールに移し、世界ランキング8位のフランス代表と対戦した。

会場のUアリーナは10月にこけら落としとなったばかりのヨーロッパ最大級の屋内型スタジアム。ラグビーのみならず球技が開催されるのは今回が初めてで、これが記念すべき初のテストマッチとなった。なお、来季からフランス・TOP14のラシン92の本拠地になる。

全面人工芝のピッチについて、キャプテンのFLリーチ マイケルは「人工芝のプレー経験は日本の方が多いと思う」と前日練習で自信を示し、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も「トゥールーズで3日間、人工芝で練習してきた」と自信をのぞかせていた。

メンバーはトンガ代表戦からほぼ据え置いた形となった。9番にはSH流大が入り、これまで先発を務めたSH田中史朗がリザーブに入った。また、FWもリザーブにもFL/NO8の徳永祥尭が入ったのみで他はトンガ代表戦と同様と軽微な変更にとどめた。これが現状のベストメンバーであることの表れだろう。

一方、今月、ニュージーランド代表、そして南アフリカ代表と戦い連敗していたフランス代表は、キャプテンのHOギエム・ギラドを筆頭にPRラバ・スリマニ、NO8ルイ・ピカモルといった一線級のFW、またBKもハーフ団のSHバティスト・セラン、SOフランソワ・トラン=デュックのコンビをはじめ、WTBテディ・トマ、FBスコット・スペディングといった世界トップクラスの布陣で日本代表を迎え撃った。

なお、SOトラン=デュックは前回の対戦、2011年のラグビーワールドカップでの日本代表戦を唯一経験している現代表ということもあり、チームのキーマンになることが予想された。

そのワールドカップでの対戦も含め、日本代表はフランス代表と過去9試合を行っているが、全敗。トンガ代表に快勝して自信を深めた日本代表が、フランス代表を相手にどこまで接戦に持ち込むことができるかが、この試合の焦点だった。

試合は前半から拮抗する。まずは5分、敵陣でペナルティーを得た日本代表はSO田村優が落ち着いてPGを決め0−3と先制に成功する。フランス代表もSOトラン=デュックが14分、PGを返して3−3の同点に。

その後はホームで負けられないフランス代表がペースをつかみかけたものの、日本代表も相手のトライをインゴール寸前で止めるなど堅いディフェンスを見せて得点を許さない。

すると前半22分、日本代表は敵陣22メートル内に入りチャンスを作ると、ラックから素早く球出ししたSH流のパスをHO堀江翔太が大外でキャッチし、左インゴール隅に飛び込んでトライ。日本代表がこの試合初めてのトライを奪い、3−8と勝ち越しに成功する。

リードしたまま前半を終えたい日本代表だったが、前半30分に再びSOトラン=デュックにPGを決められる(6−8)と、前半終了間際の39分にPRスリマニにトライを許し13−8と逆転される。5点ビハインドとなったところで前半が終了した。リードを許してしまった日本代表だが、格上のフランス代表に対し一歩も引かない40分間を目の肥えたフランスのラグビーファンに見せつけた。

後半、5点差を追うこととなった日本代表は後半早々、いきなりチャンスを作り出す。

2分、敵陣22メートルライン内でのアタックでパスを受けた日本代表CTBラファエレ ティモシーが、相手ディフェンスのギャップを突いて前進。ハンドオフの勢いを借りながらインゴールへ飛び込みトライ! SO田村のゴールも決まり、日本代表が13−15と逆転する。

フランス代表も後半10分、モールを起点にSOトラン=デュックのキックパスをWTBガブリエル・ラクロワがキャッチしトライ。20−15とすぐさま再び逆転に成功する。

しかし20分、フランス代表WTBラクロワが危険なタックルでシンビン(10分間の一時的退場)となり、日本代表は数的有利となる。

これを機に巻き返しを図りたい日本代表は後半24分、まずはSO田村がPGを決めて20−18と2点差に迫る。28分にPGを1本返され23−18と再び5点のビハインドとなるが、この日の日本代表にとってはまだまだ、十分に追いつける点差だった。

後半33分、日本代表は敵陣でのスクラムを起点にフェーズを重ねて、FWを使いながら前進。インゴール寸前に迫ったところで形成したラックから、PRヴァル アサエリ愛がボールを持ってインゴールへ飛び込みトライ。残念ながらSO田村のゴールは左に外れたものの、日本代表は23−23とついに同点に追いつくことに成功した。

その後も互いに激しい攻防を繰り広げたものの、そののままノーサイド。23−23と日本代表がフランス代表に初めて引き分け、勝利はできなかったがトライ数(3)ではフランス代表(2)を上回るなど、着実に強化が進んでいることを証明した。

ノーサイド後しばらく止まなかったスタンドからのブーイングは、日本代表の健闘ぶりを証明するものだったと言えよう。

まず日本代表のジョセフHCは

「がっかりしている。それはチームに対してではなく、勝負に勝てなかったことに対してだ。チームに対しては誇りに思う。フランス代表相手にタフな試合ができたことは素晴らしい。非常にタレントのある選手たちに恵まれて、試合に勝てなかったことは残念だけれども、やりたかったラグビーができたと思っている」

と選手をねぎらいつつ、試合を振り返った。

キャプテンのFLリーチ マイケルも、

「日本代表は昔と違って、選手は自信を持ってプレーしていたので、勝てなくてとても残念に思います」

と悔しさを隠さなかった。そして同時に、

「この試合はアウェーだったが、ファンの熱狂的な応援で非常にいい雰囲気の中でゲームができた勝つべき試合であったが、スクラムが良くなく、プランが実行できなかった。2年後に向けてもっとステップアップしなければいけない」

と来年以降のさらなる飛躍を誓った。

一方、最後に同点に追いつかれたフランス代表のFBスペディングは、

「結果が良くなかったのは日本が良かったからだ。日本のスピードには特に驚かなかった。2015年から成長し続けているし、先日のトンガ代表戦でもいいゲームをしていた。ただただ我々のパフォーマンスが悪かった。あと2年で何とかしないといけない」

と日本代表を称えつつ、チームの出来が良くなかったことを認め、2年後のワールドカップに向けて思うように勝てないチームへの焦りをちらつかせた。

10月末に世界選抜に敗れた後、3試合のテストマッチで1勝1敗1分け。日本代表は勝ち越すことはできなかったが、格上との試合もある中で一定の結果を残すことができたと言えよう。来年も引き続きこの成長曲線を維持し、ワールドカップに向けた準備を着実に進めてほしい。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)