日本代表、世界3位オーストラリアに30−63で敗戦も後半3トライ!LO姫野が鮮烈デビュー

ラグビー日本代表 - 日本代表、世界3位オーストラリアに30−63で敗戦も後半3トライ!LO姫野が鮮烈デビュー

後半40分、インゴールに豪快に飛び込みトライを決めた日本代表LO姫野。(撮影/齋藤龍太郎)

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11月4日(土)、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会を2年後に控えたホスト国の代表「ジェイミー・ジャパン」は、11月のテストマッチ3連戦の初戦にあたるオーストラリアとの一戦に臨んだ。

会場は、その2019年大会に日本対スコットランド戦や決勝などが行われる神奈川県横浜市の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)。日本代表の国内でのテストマッチ史上最多記録となる43621人ものファンが詰め掛け、強豪との一戦を堪能した。

10月28日(土)の世界選抜戦では非テストマッチだったとはいえ27−47で力負け。いわば「仮想ワールドカップ」の1試合目を落とした日本代表だったが、ワールドラグビーランキング3位(10月30日現在。日本代表は11位)と世界屈指の強豪であるワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)との対戦が「今秋最大のターゲット」とジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は公言してきた。

10月21日に同ランキング1位のニュージーランド代表を23−18で撃破したワラビーズを相手にどこまで通用するか、日本代表にとってはこれ以上ない腕試しの機会となった。

日本代表はキャプテンのFLリーチ マイケルをはじめ、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、NO8アマナキ・レレィ・マフィ、SH田中史朗、CTB立川理道、FB松島幸太朗ら、前回W杯を経験したメンバーを要所に配した一方で、この試合が初キャップとなったLO姫野和樹、そして10番を背負ったSO松田力也といった若い選手も多数起用した。

トライを取りきるアタック面はもちろん、新たに取り組み始めたディフェンスシステムがどこまで通用するかも注目された。

対するオーストラリア代表は、今回来日しなかったFBイズラエル・フォラウに加え、コンディション不良のSHウィル・ゲニアやSOバーナード・フォーリーといった経験豊富な主軸が欠場。それでもFLマイケル・フーパーを筆頭に、PRスコット・シオ、HOタタフ・ポロタナウ、PRセコペ・ケプの世界的フロントロー、LOロブ・シモンズ、SHニック・フィップス、CTBテヴィタ・クリンドラニ、そしてFBカートリー・ビールといった前回ワールドカップで準優勝を飾った主力が並んだ。

オーストラリアのリザーブも含めた総キャップ数は861。日本代表の378キャップを大幅に上回り、経験と入念な準備をもって日本代表戦に臨んだ。

試合は序盤からオーストラリアのペースで進む。前半5分にCTBサム・ケレヴィが先制トライを決めると、10分にはWTBヘンリー・スパイトがトライ。0−14といきなり突き放される。

日本代表は17分、オーストラリアのオフサイドでPGの機会を得て、SO松田がしっかり決めて3−14と点差を縮める。しかしオーストラリアの猛攻は止めることができず、23分にはHOポロタナウ、そして32分と40分にはCTBクリンドラニが連続トライを決めて、3−35となったところで前半終了。

前半、日本代表は5トライを許すとともに、28分にはSO松田がPGを外すなど得点機を生かせないなど反省材料の多い40分間となった。

後半、まずファーストトライが欲しい日本代表は3分、オーストラリア陣5メートルライン上でペナルティーを得てスクラムを選択。そして4分、そのスクラムからNO8マフィがサイドを突きインゴール目前まで迫ると、次のフェーズで縦に突いたLOヴィンピー・ファンデルヴァルトがグラウンディング。TMOの末にトライが認められ、初キャップ初トライを決めた。9分にはSO松田のPG成功で13−35として反撃ののろしを上げた。

しかし直後の10分にCTBケレヴィにこの日2本目のトライを決められ、15分の日本代表SO松田のPG成功を挟み、16分にはCTBクリンドラニが3本目のトライ(16−49)。

さらに22分にはSHフィップス、25分にはLOシモンズのトライが生まれ16−63と大差をつけられてしまった。ここで勝敗はほぼ決したが、後は日本代表が一矢報えるかどうかに耳目が集まった。

すると29分、日本代表は敵陣ゴール前でラインアウトモールを仕掛け、最後方についていたNO8マフィがトライを決め23−63とようやく反撃に転じた。32分にはCTBシオネ・テアウパがトライチャンスでインゴールノックオンをしチャンスを逸するが、試合終了間際の40分に再びチャンスが訪れる。

日本代表はオーストラリアの反則から敵陣5メートルラインでのスクラムを選択。そこから2フェーズ目にボールを受けたLO姫野が相手ディフェンスをターンでかわしながらインゴールへと飛び込み、自身の初キャップを祝う初トライで30−63とする。

ここでノーサイドとなり、日本代表は強豪ワラビーズに大差で敗れはしたものの、後半3トライを奪うなど見せ場を作ることに成功した。

試合後、日本代表のジョセフHCはこう評価した。

「前半と後半で内容が異なった試合だった。前半は規律を守れず、スクラムも劣勢に立ち苦しいスタートとなったが、後半は相手にプレッシャーをかけることで自分たちの力量を見せることができた」

そして続けて、

「苦戦したのは体格の面。オーストラリアは大きい選手が揃っていてオフロードパスなどで勢いを与えてしまった。そこがティア1と対戦する時の課題だろう。トップ4との試合はタフになるということをあらためて実感した」

と、手応えと課題を口にした。

キャプテンのFLリーチも多数の観客に感謝しつつ、今後に向けて厳しい表情を崩さなかった。

「43000人もの多くの人が見に来てくれて感謝している。新しいチームでこうした経験ができたことは大きい。3週間ディフェンスの練習をしてきて少しずつよくなってきたが、1対1のタックルはまだまだ。ディシプリンもよくなかった。これをベースにしてチームを強くしていきたい」

日本代表は来週フランスに移動し、2週間後の11月18日(土)にトンガ代表と、25日(土)にはフランス代表と対戦し、秋のテストマッチを締めくくる。オーストラリア戦で出た課題をいかに生かし勝利につなげるか、「仮想ワールドカップ」残り2試合でその成果を見せて欲しいところだ。

◇初キャップのLO姫野和樹、初トライなど攻守に随所で活躍!

この試合が初キャップとなったLO姫野和樹は、試合終了間際に代表初トライを決めただけでなく、ラックで相手ボールに絡んだりボールキャリアとして縦に突いたりと、80分間フルに随所で活躍した。ノックオンなどのミスもあったが、その激しいプレーはチームに大いに勢いを与えたと言っていいだろう。

試合後、姫野はドーピング検査を終えた後に取材対応し、

「桜のジャージーは子どものころから夢だったので、責任と誇りをしっかり持って試合に臨んだ。素直に楽しかった。(初トライの場面は)本当にがむしゃらにやろうと、自分にやれることをやり続けようと思っていた。自分のやれること、ボールを持って走ることは80分間継続でき、アピールできた」

と自身の働きを評価した。そして課題については、自身のノックオンなどのミスに加えて、

「ディフェンスの部分でもっと圧力かけていかないといけない。チームとしても個人として改善すべきこと。弱みのままにしてはいけない。これからもっともっと成長できるようにやっていきたい」

と反省。頼りになる次代のLOは今後もその伸びしろを伸ばし、いずれは代表に欠かせない存在になっていく、そんな可能性を大いに感じさせたデビュー戦となった。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)