日本代表、今秋初戦で世界選抜に27−47で力負け。課題と収穫が明確に

ラグビー日本代表 - 日本代表、今秋初戦で世界選抜に27−47で力負け。課題と収穫が明確に

前半33分、世界選抜FB五郎丸(左)を振り切りトライを決めた日本代表FB野口竜司。(撮影/齋藤龍太郎)

  • シェアする

11月に強豪とのテストマッチ3連戦(4日オーストラリア戦、19日トンガ戦、26日フランス戦。いずれも日本時間)を控えたジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)率いるラグビー日本代表(JAPAN XV)。それを前に10月28日(土)、世界と日本国内の名プレーヤーたちによって編成された世界選抜と福岡・レベルファイブスタジアムで対決した。

コンバインドチームとの非テストマッチとはいえ、ワールドクラスの経験やスキル、フィジカルを兼ね備えた手強い世界選抜に対し、現時点の日本代表がどこまで通用するのか。NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)キャンプも含めたジョセフHCのこれまでの強化策の成果、そして選手たちの成長度を見るにはこれ以上ない機会となった。

日本代表は新たにキャプテンに就任したNO8リーチ マイケルをはじめ、PR稲垣啓太、SH田中史朗、SO田村優、WTB山田章仁など前回のラグビーワールドカップを戦った経験豊富なメンバーを要所に配置。それと同時にPR具智元、LO姫野和樹といったノンキャップの若手有望選手もスターティングメンバー入りした。昨年のアルゼンチン戦、ジョージア戦でトライを決めたWTBレメキ ロマノ ラヴァは1年ぶりの代表復帰を果たした。

対する世界選抜は、かつてスーパーラグビーのクルセーダーズ、そしてオーストラリア代表を指揮し、現在はパナソニック ワイルドナイツを率いる名将ロービー・ディーンズが2015年に続いてHCを務めた。メンバーにはFBに五郎丸歩、WTB藤田慶和、リザーブにSO山沢拓也と3人の日本代表経験者を据えたほか、前回ワールドカップでは日本代表に、ブルズではサンウルブズに苦杯を喫した元南アフリカ代表HOアドリアン・ストラウス、リオ五輪セブンズ南アフリカ代表でライオンズでも活躍したFLクワッガ・スミス、名手を揃えた。

そして、トップリーグまたはサンウルブズからもFLエドワード・カーク、No.8ヴィリー・ブリッツ、SHアンドリュー・エリス(元ニュージーランド代表)、SOベリック・バーンズ(元オーストラリア代表)といった日本で大活躍中の選手も先発。日本代表に対し厳しくぶつかる

ロビー・ディーンズHCは試合を前に、こう語った。

「コンバインドのチームだからこそできることがある。コーチとしては彼ら選手一人一人の強みとなるところを最大限引き出していきたい。日本代表との戦いでは我々の強みを出して、弱みを隠して戦いたい。ジャパンの強みは良く分かっている。80分間速いラグビーを展開してくるだろう。そして我々がどれだけついていけるかというところを見てくるだろう」

試合は前半開始早々6分、世界選抜WTB藤田が日本代表のディフェンスを振り切ってトライを決め、FB五郎丸がゴールを成功させる。世界選抜の日本人選手が7点を先制すると、15分には日本代表SO田村がPGで3点を返す。3−7とした日本代表はさらに点差を詰めたいところだったが、21分には世界選抜WTBビンス・アソがトライ。FB五郎丸のゴールも決まり3−14とさらに点差が開いてしまう。

これ以上リードを広げられたくない日本代表は前半28分、SO田村のPGで3点を追加し6−14とすると、33分にはそのSO田村が相手ディフェンスのギャップを突いてラインブレイクし、追走していたFB野口竜司がラストパスを受けてゴール中央にトライを決める。ゴール成功で13−14と1点差に迫ったところでハーフタイムを迎えた。

後半、逆転を狙いたい日本代表だったが、2分にFB野口がインテンショナルノックオンでシンビン(10分間の一時的退出処分)となる。世界選抜はその間の数的優位を生かし、4分にLOサム・ワイクス、11分にHOアドリアン・ストラウスの連続トライで13−26と突き放す。その後も16分のWTB藤田のトライなどで世界選抜が13−40とリードを広げ、日本代表にとっては逆転が難しい点差となる。

しかし、後半キックオフ以降防戦一方だった日本代表はラスト10分、ようやくアタックに転じる。34分、日本代表は敵陣でのマイボールラインアウトを起点に近場での連続攻撃を展開、そしてラックからのパスを受け縦に突いたCTBシオネ・テアウパがボールをインゴールにねじ込んでTMOの末にトライ。さらにホーンが鳴った直後の42分には、WTBレメキのビッグゲインを起点にフェーズを重ねていき、LOヘル ウヴェがゴール前での世界選抜ディフェンスに押し勝ってトライを決め、27−47としたところでノーサイド。終盤のアタックでようやく「らしさ」を見せた日本代表だったが、世界選抜に計7トライを許すなど大量失点が響き20点差で敗れた。

試合後、日本代表のジョセフHCは記者会見で、

「いい場面はたくさんあった。ディフェンスでいいプレッシャーをかけられた場面もあり、この先も(ディフェンスシステムを)遂行できる兆しが見えている。初めて桜のジャージを着て戦う選手も多かったが、チームにコミットしていた」

と前向きに振り返ると、キャプテンのNO8リーチ マイケルも

「点差が開いてしまったが、自分たちが目指していることが何個かできた。新しく入れたディフェンスはいい部分も悪い部分も出てきたので、オーストラリア戦に向けてかなりいい課題が出た」

とポジティブにコメントするとともに、ファンに向けては、

「台風の中レベルファイブスタジアムにお越し頂き感謝しています。2年間で皆さんにいい試合が見せられるようにしたいです。今後も応援よろしくお願いします」

と感謝の言葉も忘れなかった。

世界選抜のロビー・ディーンズHCは、

「世界中から選手が来てくれて、オンザフィールドというよりオフザフィールドでチームを作った。火曜日時点の練習では今日のようなパフォーマンスは信じられなかったが、選手たちが居心地のいいところから脱して1週間で成長を見せた」

と選手たちを褒め称えるとともに、日本代表については、

「彼らも我々に対してかなりプレッシャーをかけてきた。しかしトライを取りきるほどのプレッシャーではなかった。ただ、全体的な差はそんなになかったと思う。ジャパンの収穫は最後までトライを狙い、取り切ったこと。あと10分あったら我々が厳しい状況になっていただろう。来週のオーストラリア戦はいい試合をするのではないかと思っている」

と評し、日本代表にいい部分があったことも強調した。

世界選抜戦から得た収穫と課題。1週間でそれを検証、修正し、10月21日に世界ランキング1位のニュージーランド代表を破ったばかりの強豪オーストラリア代表を横浜・日産スタジアムで迎え撃つ日本代表。どのようにワラビーズに立ち向かうのか。引き続き目が離せない。

◇世界選抜FB五郎丸歩は5ゴールの活躍!

ベストフィフティーンに選出された2015年のラグビーワールドカップまで日本代表として活躍した五郎丸歩。今回、初めて世界選抜に選出され、FBとして先発し後半24分までプレーした。それまでの世界選抜の6トライのうちゴールを5つ決め、最後方からのアタックやディフェンスの面でも勝利に貢献した。

五郎丸は試合後、世界選抜としてプレーした率直な感想を語った。

「我々は短い期間だったけど、しっかり準備して、日本代表に対していい状態で臨めた。(ゴール成功率83%について)ワールドカップの時も80パーセントを目指してやってきたが、あと一歩届かなかったので、皆さんの期待に少しは答えられたかなと思う。海外(レッズやトゥーロン)での経験がなかったら世界選抜にも入れなかった。本当にいい経験を積ませてもらっている」

最後に日本代表への復帰について質問されると、

「新しい選手が次から次へと出てきているが、これから2年間しっかりと一つのチームになっていってほしい。地元・福岡で世界選抜として、日本代表と対戦。夢のような時間だった」

と復帰への意欲自体は語らなかったものの、世界選抜としてプレーできたことの満足度をあらためてかみしめるようにコメントした。

日本と世界のスター選手が相見えたレベルファイブスタジアムに集まった10303人のファンは、雨の中ではあったものの贅沢な時間を過ごすことができたと言えるだろう。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)