世界王者ニュージーランド、来年W杯決勝の舞台でオーストラリアに37-20で快勝!

ブレディースローカップ - 世界王者ニュージーランド、来年W杯決勝の舞台でオーストラリアに37-20で快勝!

80分間、アタックを統率し続けチームを勝利に導いたニュージーランドSOボーデン・バレット(中央)。(撮影/斉藤健仁)

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10月27日(土)、日産スタジアム(横浜国際総合競技場/神奈川県)で、世界ランキング1位で前回ラグビーワールドカップ王者のニュージーランドと、その長年のライバルで現在同7位のオーストラリアが「キヤノン ブレディスローカップ2018」として激突した。世界の“頂上決戦” を一目見ようと、2004年以降では最多の46,143人もの観客がスタジアムに詰めかけた。

1931年から80年以上行われているこの両チームの定期戦は、当時のニュージーランド総督の名から「ブレディスローカップ」と銘打たれている伝統ある一戦。長らく世界のラグビーを牽引してきた両国は、2015年の前回ラグビーワールドカップの決勝でも対戦した。来年のラグビーワールドカップ日本大会の決勝(2019年11月2日)の会場でもあるこのスタジアムで、ともに優勝を目指す両雄が激突する形となった。

今年のブレディスローカップは8月にニュージーランドが2勝し、今回の3戦目を待たず、そのカップを手にしているが、ワールドカップを想定した試合ということもあり、両チームにとって負けられない一戦となった。

ニュージーランドは、ワールドラグビー年間世界最優秀選手に2回輝いた現在の世界ナンバーワンSOボーデン・バレットをはじめ、キャプテンのNO8キーラン・リード、不動のLOサミュエル・ホワイトロック、かつて日本のパナソニックでもプレーしたCTBソニー ビル・ウィリアムズ、スーパーラグビーの最優秀選手FBダミアン・マッケンジーといったおなじみのメンバーが先発した。

3連敗は避けたいオーストラリアも、キャプテンのFLマイケル・フーパーを筆頭に、パナソニックで活躍したNO8デービッド・ポーコック、スキルフルなSHウィル・ゲニア、様々なポジションをこなすカートリー・ビールとイズラエル・フォラウの両CTBと、こちらもチームに欠かせないメンバーがスターターとして名を連ねた。

ニュージーランドのキックオフで始まった前半、開始早々の2分にオーストラリアはいきなりインゴールを陥れる。しかしTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の結果トライはならず、そこから一転ニュージーランドペースとなる。

11分、一連のアタックからたちまち敵陣深くまで攻めると、FLリアム・スクワイアが相手ディフェンスの開いたスペースに突っ込みそのままインゴールへダイブ。ニュージーランドが先制トライを決め、SOボーデン・バレットのゴールも成功し7-0とする。

オーストラリアも前半21分、CTBカートリー・ビールがPGを決めて7-3と点差を詰めたものの、直後の25分にはニュージーランドSOボーデン・バレットのPGが成功し、スコアは10-3。さらにニュージーランドは36分、スクラムからキャプテンのNO8リードがトライを挙げて17-3と点差を広げる。

前半のうちに少しでも点差を縮めたいオーストラリアは、ハーフタイム直前の39分に数少ないチャンスを生かして敵陣深くへ攻め入ると、最後は大外でパスを受けたWTBセファ・ナイヴァルが力強いトライを決めて、SOバーナード・フォーリーのゴールも成功し、17-10となったところで前半終了となった。

わずか7点差で迎えた後半開始早々、オーストラリアはまたもTMOでトライが認められないプレーがあったものの、6分にはSOフォーリーがPGを決めて17-13。わずか4点差に縮める。

ニュージーランドも13分、SOボーデン・バレットがPGを成功させ20-13とすると、19分、またもスクラムを起点にSOボーデン・バレットのパスを受けたWTBリコ・イオアネがビッグゲインし、パスを返されたSOボーデン・バレットが左隅にトライ。27-13と突き放す。

オーストラリアは後半27分、HOトル・ラトゥが不行跡でシンビン(10分間の一時的退出)となると、数的優位に立ったニュージーランドは29分、WTBベン・スミスがインターセプトから独走トライを決めて32-13と点差を広げる。36分にはオーストラリアCTBフォラウがトライし32-20としたものの、38分にはニュージーランドWTBリコ・イオアネがとどめとなるトライを決めて37-20としたところで、ノーサイドとなった。

ニュージーランドが今年のブレディスローカップ3連勝を果たし、最後にトライを決めたWTBリコ・イオアネがMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選出された。

MOMを受賞したWTBイオアネは「日本の観客のみなさんの前で試合ができ、とても素晴らしい。来年もまたここに戻ってきたいと思います。個人的には、このまま努力しつづけて来年もオールブラックスで戦うことが目標です」と笑顔を見せた。

試合後の記者会見で、勝ったニュージーランドのスティーブ・ハンセンHC(ヘッドコーチ)は、試合をこのように振り返った。

「(オーストラリアは)ディフェンスを破るのがなかなか難しいチームなので、特に最初の30分は懸命にプレーしていましたが、なかなか突破できませんでした。この数週間は突破していくためのことを時間をかけてやっていました。いいランニングラグビーができたと思いますし、観客のみなさんにもいい試合を見ていただけたと思っています」

ニュージーランドのキャプテン、NO8リードはこのように振り返った。

「これまでの(テストマッチの)1週間の中でプレーするのとは違う1週間を過ごしましたが、いい結果にすることができてよかった。いくつかの過去のテストマッチと比べても今回のワラビーズは非常によかったところがありましので、私たちもまったく油断ができないと思っています」

敗れたオーストラリアのマイケル・チェイカHCはこのようにコメント。

「いろいろと努力をしていかないといけないところはあると思います。ターンオーバーが多すぎたこと、特に重要なタイミングでのターンオーバーが多かったと思いました。だからこそこのような結果になったわけですが、今後そこは修正していける部分だと思います」

また、後半27分のシンビンについても悔やんだ。

「あのような状況ならレフリーが注意することはわかります。やるべきではないことでした。自分の身を守るために、という部分もあるのかもしれませんが、実際あのようなタイミングでやるべきではありませんでした」

明暗がくっきり分かれたキヤノンブレディスローカップ2018。勝ったニュージーランドは1週間後の11月3日(土)に日本代表と味の素スタジアムで対戦する。

主力選手が欧州遠征に発つこともあり、若手を中心にチームを組むことが予想されるが、「オールブラックス」であることに変わりはない。日本代表がどこまで喰らいつき、国内外にその実力を示せるか注目したい。

◇日本でも輝いた世界最優秀選手SOバレット

ワールドラグビー年間最優秀選手2度受賞の実績は伊達ではなかった。

ニュージーランドSOボーデン・バレットは80分間フル出場し、終始オーストラリアのディフェンスを攪乱してチームを勝利に導いた。プレースキックも7本中5本を成功させるなど、安定したプレーでオーストラリアを退けた。

試合後、SOボーデン・バレットは試合について、

「セットプレーを通してトライにつながったことがよかったです。スクラムからのトライには満足しています。計画通りでした。練習してきたのでものになった。オーストラリア向けにそういうセットプレーの練習をしてきました。1次~2次(攻撃)くらいまでは計画して練習しています。試合前にコーチからの指示で、こういう状況のときはこうしよう、という話だったのでそういう選択をしました」

と語った。また来年のワールドカップについて問われると、このように話した。

「選手として日本に来ることはすごく嬉しいことでもありますし、日本のみなさまはすごくサポートしてくれるので、来年のワールドカップはワクワクします。(決勝の舞台で勝ったことについて)パフォーマンスは別として雰囲気を味わうことはいい経験になりました。スタジアムに慣れる意味でもここでプレーできて良かったです」

世界のトップ中のトップ選手であるSOボーデン・バレットの質の高いプレーを、きっと来年も日本で見ることができるはずだ。そしてニュージーランドがワールドカップで3連覇できるかどうかの鍵を握る選手のひとりとなろう。

記事提供者:齋藤龍太郎(楕円銀河)